起業家のモチベーション [7-3 MBA留学中:School]
以前から起業家のモチベーションって何なんだろうかって不思議に思っていた。普通に考えれば、何かをゼロから始めるっていうのは本当に大変。それは単純に会社の中での勉強会をスタートさせるのでもそうだし、大学でサークルを始めるのもそうだし、起業するのもそう。まずは仲間を集めるが第一。人がいないと何も始まらない。その上で、場合によっては勉強部屋や練習場所などのインフラを整える必要もある。仲間と同時に中心となるコアなメンバー、会社で言うとマネジメントチームをリクルートする事も大切。
一旦、物事は始まってもそれを維持するのは更に大変だ。組織を維持し、戦略を考え、メンバーをモチベートし続けないといけない。ビジネスであれば競合の事も考えながら、自社の生き残りの掛けて戦い“続ける”事になる。この“続ける”というのがポイント。
こんな大変なことなのに、なぜ起業家は起業をするのだろうか?特にSerial Entrepreneurと呼ばれる人たちは一度ならず、2回も3回も起業を行うのだから、すごいものだ。
推測するに、そのモチベーションは大きく2つに分かれると思う。1つは個人的な理由、もう1つは社会的な理由。個人的な理由と言うのは様々なものがあるだろう。例えばお金持ちになりたいと言う金銭欲、何が何でもNo.1になりたいと言う出世欲、成功して後世に名を残したいという名誉欲など。その他にも誰かを見返してやりたいという強い気持ちや、単純に自分の好きな事をやりたいという気持ちも起業のモチベーションになるかもしれない。
もう1つの社会的な理由と言うのは個人的な理由を超えたもっと大きなものだ。自分の為というよりかは国家の為、自分が住む地域の為、消費者の為。市場にないサービス・製品を、市場にいる潜在的な顧客の為に自分が始める。それが結果的に起業という形となる。
全ての起業家はどちらか一方のモチベーションのみで起業する訳ではないと思う。常に両方のコンビネーションだろう。ただ、人によってはどちらか一方が、他方よりも強いというのはあると思う。例えば、ソニーの盛田昭夫氏や、ホンダを作った本田宗一郎氏などの日本の昔の起業家は個人的な理由というよりは、社会的な理由が強い様に思える。また、最近でも例えばマネックスを始めた松本大氏や楽天の三木谷氏などは既存の業界に疑問を持ったという意味でこのタイプに入ると思う。
一方で、個人的な理由が大きい起業家もいるだろう。例えば僕にとっては、ライブドアの堀江氏は典型的なこっちのタイプの様に思える。タイプは違うかもしれないが、ソフトバンクの孫氏などもこちらの傾向が強い様に見える。また、この記事に書かれている通り、最近のベンチャー経営者は「好きな事をとことんやる」という意味で、社会的な理由よりかは個人的な理由の方が強い気がする。
起業が成功するに当たっては、どちらが良くてどちらが悪いというのはないのかもしれない。もしかしたら社会的な理由だけでは、十分ではなく、もっと個人に根付いたモチベーションが強いほうが逆境にくじけない可能性は高い。只、もう一方で考えなければいけないのは起業家のモチベーションというのはその会社のカルチャーを決定するという事。企業のカルチャーは企業のあり方を決める。企業のあり方とはビジネスのやり方や、仕事に対する態度、もっと言えば従業員のモラルなどだ。起業家が自分の会社に与える影響は大きく、その根源は恐らく起業家のモチベーションのタイプに関係してくるのだと思う。
今日、グッドウィルが今度は派遣業務において行政処分を受けたというニュースを読んだ。これはもしかしたら業界の構造的な問題で、特定の企業にその責を問うのは違うのかもしれないが、同社の在り方・カルチャー、更に言えば創業した人間のモチベーションと言うのは何だったのだろうと考えさせる出来事だった。
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